嫌われた天才の襲来ほど危険なものなし

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彼、春咲空は、みんなから嫌われていた。彼は何故か嫌われていた。みんなに冷たくもしていない、とても頭も良かった。運動神経だって、僕よりもすごい。一回だけ本気ってやつを見せてもらったけど、走りじゃ彼に敵わない。 僕が来てから、でもないんだけど、彼は段々と堕落していったように見えるんだ。僕はもちろん頑張ってるよ。そりゃ、彼に勝ちたいのもあったからね、でも、堕落していく彼を見て、頑張らなくても勝てる、って思った。 彼は、何を思ってあんなふうに生きてるんだろう、なんて本気で考えたよ。僕なら、自分で自分が許せない生き方だったから。それが、理由、かな。僕が彼に近づいた理由。 最初、彼はとても驚いていたよ、お前なんか知らん、お前の自己満足してる土俵に俺を引っ張り出すなって。いやー、嫌われていたね、ものすごい。まぁ、それでも諦めずに話してたら仲良くなったんだ、そう思ってるだけかもしれないけど。 そしたら、話を聞けた。理由があったんだ。彼には血の繋がった者が、妹が一人いたみたい。親は強盗に入られて殺されたみたい。彼と妹は親の顔を覚えてないくらい小さかったみたいなんだ。 まぁ、それで唯一の肉親の妹、なんだけど、病気で死んだみたいなんだよね。だからかなり辛かったみたいなんだ。引き取ってくれた親戚の人、かなり優しいみたいだけど、心に土足では踏み込めないって言ってたし、そっとしてるんだろうなって思ってる(こっそり聞きに行ったのは内緒) んー、なんというか、複雑だなーって思った。僕は一人っ子で親も生きてるから分からない。それで、妹のこと考えたらー、って綺麗事振りかざすつもりもないからさ。 ただ、そばにいて楽しませたいって思ったね。それが綺麗事かもしれないけど………っと。あー、自己紹介遅れたね、彼と下校している園崎劉一だよ。 「おい、何をニコニコしながらこっち見てんだ勇者様。さっさと行くぞ!」 「んー、そだね!こんな空見たの初めてだよ。そのお祝いに僕も行くよ!」 目がキラキラしている彼を見て、なんでだろ、素直に嬉しいと思った。 「うぇ、BL発言すんなよ………この世界なら、俺を理解できる奴いるかもしんねーからな。だから行く。」 「そっか、ふーん。えいっ!」 この紋章は僕が先に入ったらきっと閉じてしまうだろう、だから空を先に押して入れた。
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