Sigrect

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クラス替えの、 絶好の拝見場所だというのに、 どうして、そこだけ人が距離を取っているのか。 分かってしまった 「聞こえないの?邪魔なんだけど」 こいつが、原因だ。 金髪で蒼碧の目をしたそいつは、 虫けらでも見るような目で 俺を見たかと思うと、回りには 俺とそいつを囲って、さらに一回り 大きな空間ができていた。 きゃいきゃい騒いでいた女子男子も、 しーんと静まりかえり、ただただ こちらを見ている。 「な、なななななな」 そして、そいつが歩くたびに 人が避け、道になっていく。 道が開いたからか そいつは俺なんか目もくれず 何事もなかったかのように、すたすたと 玄関のほうへ歩き出した。 ポカーンとしながら、転んだままの 俺の肩を誰かが、ポンっと叩く。 「残念やったな、時雨」 今ほど、高天ヶ原のドヤ顔を殴りたいと 思ったことはない。
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