Sigrect

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高天ヶ原の声が、 あまりにも五月蝿いので とりあえず、近くの空き教室に場所を うつした。 「自分、高校1年も通っといて 相沢夏希知らんなんてビックリやわー」 「相沢夏希、ってさっきのやつ?」 「そや! ごっつーべっぴんさんやろ!?」 「男に対して、その言い方はちょっと」 確かに、中性的で美人な顔をは していたけれども。 「歌舞伎の轟屋の相沢家きっての天才女形として有名で、噂が尽きない男なんや!」 高天ヶ原は、ニヤニヤと人差し指を たてながら楽しそうに、相澤夏希の噂話を披露し始めた。 子どもの頃、何度も誘拐された。 女形としての教育として、常日頃から 女装させられていた。 空手は、黒帯らしい。 実は、ゲイらしい。 極度のシスコンらしい。 幽霊が見えるらしい。 実は、人間ではなくロボットらしい。 などなど、 「アホらし」 「けど、面白いやろ?」 「面白いけど、本人からしてみたら たまったもんじゃないな。」 「時雨が気にしてどないすんねん!!」 たしかに、俺が気にすることじゃない。 余計なことに、巻き込まれるのは ご免こうむる。
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