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「カンナ」
キリナが背を向けたままカンナの名を呼ぶので、談話室を出て行ったと思っていたカンナがグラスをカウンターに置いて振り返った。
「…お前はクレアを振って、エティアを選んだ。人の気持ちはどうしようもない。クレアのこと悲しませて、殴りたい気持ちもあるが、どっちにも良い顔してるよりはマシだから勘弁してやる。だから…」
キリナはそこまで言うと、一呼吸置いた。
「エティアと幸せになれよ」
まさかそんなことを言われると思わなかったので、カンナはすぐに答えられなかった。
「隊長…」
「フッ、俺も大分酔ってるらしい。こんなこと言うのは野暮だな。忘れてくれ」
そして左手を軽く挙げて、今度こそ談話室を出て行った。
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