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 一本に結った長い髪を揺らしながら、五月カンナは支社内の通路を走っていた。  時刻は午後9時を少し回った位だが、周りに人気はない。 「全く、何なんだよ」  一人文句を言うも、目的の部屋の前まで来てから足を止めて呼吸を整えてから中へ足を進めた。  広い部屋の中には幾つかのテーブルと椅子、そしてバーカウンターがある。  ここは支社内の談話室。  照明を薄暗くしてあるのはいつものことなのだが、備え付けのモニターも消されているので、なおのこと暗く感じる。  カンナがバーカウンターに目をやると、カウンターの席に男女二人が並んで座り、カウンターの中の男性が二人に何やら話しかけていた。  カウンターの中にいたボビーがカンナに気がついて、前に座る二人に声をかけた。 「ほら、カンナちゃん来たわよ」
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