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摩訶国は3000年以上の歴史を紡ぐ巨大な帝国であった。
この摩訶国には二つの民族が共存していた。
有為民族と無為民族である。
まず有為民族について説明しよう。
有為民族とは森羅万象という世界そのものを指す、もっとも偉大なものが生み出した人間と呼ばれる生き物だ。瞳の色は灰色で肌の色は焼けやすい。
そして奴婢であったり貴族であったり様々な身分の者たちで構成されている。
無為民族と違ってすぐに変化し、衰え、力がないことから有為(永遠ではないこの世のすべて)民族と呼ばれるようになる。
次に、無為民族について説明しよう。
無為民族は有為民族と違い、瞳の色は先祖によって様々であり、肌の色はどんなに日に当たっても焼けず、白くきめ細やかな美しい肌のままである。
そして、ほとんどが貴族か金持ちであった。
有為民族と違ってあまり変化せず、衰えることもなく、なにより自然の脅威や恩恵を操ることができた。
一体何故、彼らにそんなことができるのか理由を説明しよう。
森羅万象がこの世を創ると同時に、森羅万象の子供たちをち、その時に生まれたのが、光を司るもの、闇を司るもの、雷を司るもの、水を司るもの、風を司るもの、火を司るもの、大地を司るもの、鉱物を司るもの・・・・・・と様々である。
これらは後に「森羅万象の王達」と敬称で呼ばれるようになり、子孫を残し、その子孫が後に無為(変化しない永遠のもの)民族と呼ばれるようになる。
しかしひとつ例外があった。
森羅万象が最後に産み落とした存在。
冬を創るために、水と風を掛け合わせて創られた存在。
氷雪を司る氷雪の魔王。
試練の象徴であり、悪の象徴でもある。
子孫を残せず、人々を苦しめた悪として、水と風の王に封印された魔王。
魔王は封印される前、双方の王にこう告げた。
「私は子孫を残せなかったが、遺志を継ぐ者はいる、その者は雪に祝福されて生まれてくるだろう。わかるか?お前たちの子孫が交わったときにできた子供がそうだ!」
それを聞いた双方の王及び、その子孫たちはただの負け惜しみだと思い、あまり深く考えず気にも留めなかった。
しかしそれが後に悲劇を巻き起こすことになるとは誰も予想していなかった。
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