序章

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 私の遣る事と申しますと、御家でも御仕事でも決まって、御料理を御出しする事で御座います。  幼い頃、  母の買物に付添い、様々な料理を教わった私は、年を重ねるに連れ、母の味を追求する様に成り、  何時しか、母の味を超える事に心血を注いで来た様な気が致します。  此の一般的に、  「お袋の味」と称される味は、実の所、超越はおろか再現する事は非常に困難な道程で御座いまして、  御家と職場では、  私の御出しした、料理の定評が待々で在ったりするので御座います。  受講生の皆様からは、先生の料理は美味だとの御好評を頂く傍らで、主人には変わり映えの無い味だと言われるので御座いますから、  万人受けする御料理を御出しする事はおろか、私が此だと思える御料理を作る事すら儘成らない状態に御座います。
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