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「ごめん、俺抜ける」
「え、まだ飲み足りてないんだけどー。...って、明子ちゃんの方が大事よね。あー、妬けちゃう。あたしも旦那さんに迎えに来てもらお」
ちょっと不貞腐れながらも、しょうがないと言って犬を追い払うかのように手を振った。
「早く行けよ。金は立替といてやるから」
「悪い、頼んだわ」
「あーもう!そんな事いいから早くお姫様のとこ行ってあげなさいよ!のろのろしてると怪物にペロッと召し上がられちゃうわよ!」
麻里亜に捲し立てられながら俺は急いで店を出た。
今更ながらアイツらの優しさに感謝した。
なんだかんだ言って結局背中を押してくれたのはアイツらだ。
少し歩くと何か揉めている二人組が目に入った。
よく見ると、明子とあのいけ好かない野郎だった。
聞き耳を立てて、一応明子が同意の元でそんな行為をしているのかを確かめる。
──────離してっ!
微かだかしっかりその声は俺に届いた。
走ってその場に詰め寄る。
頼む。
手遅れになってくれるな。
嫌がらないで大人しく俺の言う事聞いてくれ。
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