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暗くて狭い玄関に俺と明子の二人だけ。
鍵が閉まる音と共に俺の理性もどこかに飛びかける。
俺のテリトリーに明子が帰ってきたんだから、いつリミッターがぶっ飛んでもおかしくないだろ。
だけど、まだがっつく訳にはいかない。
俺には聞かなきゃいけない事があるから。
明子が昼に言ったあの言葉の意味をちゃんと聞かないと。
俺の聞き間違えじゃなければ確かに明子が俺に好きだと言ったはずなんだ。
「俺になんか言うことないの?」
「...逃げてごめんなさい。あと勝手に出てったことも」
違うから。
俺が求めてる答えそれじゃない。
明子を見つめると明らかに彼女が目を逸らした。
あぁ、なるほど。
意味は分かってんじゃん、俺が欲しがってるやつの。
俺だってもう大人しくお前を待ってるだけなんて出来ないから、何するか分かんないぞ。
昼にあんな醜態を晒したんだから、これ以上情けない男にはなりたくない。
やっとの思いで捕まえたんだ。
みすみす逃すかよ。
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