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嫌な訳が無い。
ただお前がしてくれたことにちょっと驚いただけだ。
むしろ嬉しすぎて理性とか男の建前とか全部ぶっ飛びそうなくらい。
お前から抱きついて貰える。
そんな機会どれだけ長い時間俺は待ち望んでいたんだろうか。
きっとお前にはこのもどかしさは分からないと思うけど。
「嫌な訳ない。ただ...」
ただひとつだけ気に入らないことがある。
抱きつかれた時に明子から微かに香ったあの香り。
すこぶる気に入らない。
縄張りを穢されたような、そんな気持ちになる。
思わず顔をしかめた。
「お前から他の男の匂いがするのは耐えらんない」
「え?男?そんな匂いなんてしないけど...。えー?」
俺に巻き付けていた細い腕を離して、自分の服に鼻をつけて匂いを確認してる。
...言わなきゃよかった。
せっかく俺に触れていた明子の体温が遠ざかった。
今も他の男に明子を盗られたような錯覚に陥る。
そんなの消してしまえ。
俺だけで頭ん中いっぱいになれよ。
俺だけに執着してみろよ。
思い立ったらすぐ実行。
考えと同時に明子を担いで風呂場に直行する。
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