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多少乱暴に彼女を抱き上げて、風呂場を出る。
たまたまお姫様だっこになってしまっていただけなのに、
「やっと女の子扱いしてくれた」
明子はふにゃっと顔を崩して笑った。
「やっとってなんだよ。俺はいつもお前のことちゃんと女だと思ってたけど?」
照れ隠しに言い方がぶっきらぼうになってしまった。
「それが分かってないのは、ちゃんと女心が分かってない証拠よ。まだまだね」
いたずらっ子のように微笑む彼女の額に柔らかく口づけをする。
「随分と余裕なようで、お嬢さん?」
俺は相当溜まってるから、そう簡単に終わらせてやれる自信ないけど。
そう耳元で囁くと明子は赤面して俯いてしまった。
そういうこと普通に言うのが、女心分かってない...ってことなの。
くぐもって聞こえた彼女の言葉は聞こえないふりして、そっとベッド上に下ろした。
「上総の部屋に入れてもらえるの2回目だね」
それを聞いてあの時俺がやらかした事が鮮明に思い出されて、妙に恥ずかしくなった。
独りよがりな行為がどれだけ相手を傷つけるか、あの時苦しいくらい教えられたから。
「...あの時は悪かった。自分の欲にまみれてお前の気持ち全然考えてやれなかったし...」
「でも、今日はちゃんと見てくれるんでしょ?」
あぁ
こいつは天然で意図せずこういう事言ってるのか。
それともこれ以上俺を溺れさせるためのお前の計算ってこと?
いつの間にこんな男を泣かせる女になったんだか。
「もちろん。俺がどれだけお前のこと好きか全身で伝えてやるよ」
引き寄せ合うように唇と唇を合わせる。
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