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私の愛した人はちゃんと私を迎えに来てくれた。
約束の時間はとうに過ぎていたけど、そんなの今となってはどうでもいいこと。
上総もあの約束を覚えていてくれた。
子供同士が交わしたあんな口約束をちゃんと果たしてくれたの。
途中で諦めそうになった自分が情けない。
乗り移ってしまおうかと思ってしまったことも。
結果として二人は同一人物だったけど、もし上総がかーくんじゃなかったどうしていたんだろう。
...それでも上総が大事なことに変わりはない。
「...上総、好きよ」
「知ってる」
「えっ!?」
寝ていると思っていたのに急に言葉が返ってきて、慌てて上を向いた。
「おはよ」
「おはよう...ございま...す」
ニヤリと笑う彼は寝起きでもムカつく程かっこいい。
どこから起きてたのよと問いただすと、上総はしれっとキスの時からだと答える。
「起きてるなら起きてるって早く言ってよ!あんな恥ずかしいこと...」
「朝から随分積極的だな、俺の彼女さんは」
上総の含んだような言い方に身体が熱くなる。
顔が真っ赤だと笑われた。
仕方ないじゃない。
そんなこと面と向かって言われたことないんだし。
彼女という響きがくすぐったかった。
昨日の朝とは全く変わってしまった二人の関係。
びっくりするほど変わってしまった。
一夜でかーくんの存在さえも。
「真っ赤なんかじゃ...ない」
上総に顔を見られないように背を向けたが、また上総の方を向くように器用に回転させられる。
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