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まるで初めて彼とキスした時と同じシチュエーション。
気持ちは全く逆だけど。
また彼の上に馬乗りになるなんて。
「...意地悪」
じっと彼の顔を見て無言の抗議をするけど、上総はただ口角を釣り上げて待ってるだけ。
「別にしなくてもいいけど、するまで離す気はないから」
腰に手を回し完全にホールドされてしまった。
別にキスするのは嫌じゃないの。
ただ恥ずかしいさが消えてくれないだけで。
こうやって甘やかされるのとか、いちゃいちゃするのに慣れてないから。
チュッ
短いリップ音を立てて唇に当てるだけのキス。
それが今の私の精一杯。
それがキスと呼べるだけの代物かどうかは分からないけど。
「はい、これでいいでしょ?ちゃんとキスしたからね!」
した後の恥ずかしさの方がする前よりもずっと増していて、今すぐに離れたくなったが、まだ上総は腰に回した手を話してはくれない。
顔が熱くなっていくのがよく分かる。
大人なのに全然こういう事に慣れてない自分がとてつもなく情けない。
もっと余裕をもって彼に接することが出来たらいいのに。
なんて、
そんなこと考えたって仕方ない。
こういう事考えてるのが子供っぽい。
「あんなので俺が認めるとでも思った?」
「え?」
「キスも分からないお子様にはちゃんと教えてやらないとな」
この上なくいい表情をした上総は腕に力を入れて、いとも簡単に私を抱き寄せた。
気づいた時にはもう彼の顔が目の前にあって。
あっ、と思った時にはさっきとは比べ物にならないようなキスが始まっていた。
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