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「はいっ!」
座ってお昼のニュース番組を見ていた上総に押しつけるように手渡した。
「熱っ...」
突然渡したせいで上総はカップ全体を持ってしまった。
しっかり持ってくれたから落としはしなかったが。
「あっ!ごめん...そんなつもりで渡したつもりじゃなくて...大丈夫?」
そんなに熱くはなかったと思うけどちゃんと注意してから渡すべきだった。
火傷なんてされたら困る。
ドクターは手だって商売道具だから。
それ以前に彼氏に火傷なんてさせたくない。
「ごめん、反射で出ただけだから大丈夫。ありがと」
いただきますと言ってスープを口に運ぶ。
スープが喉を伝う時に上下する喉が妙に色気を放っていてついつい目が行ってしまう。
なんでスープ飲んでるだけなのに、こんなに色気撒き散らすのよ。
女の自分にない色気が彼にあってちょっとだけ複雑な気持ち。
さすが王子様って呼ばれるだけある。
こんな王子様の彼女がフツーの女なんてね。
笑っちゃう。
「なんで笑ってんの?」
「いや、別に。ただ、上総みたいな王子様とこんなフツーの女が付き合っていいのかなって」
「俺のことバカにしてるわけ、それ」
どういう意味なのか全く理解出来ない。
むしろ王子様って褒めてるつもりなんだけど。
「俺が選んだ女にまわりの人文句なんて言わせないし、お前は自分が思ってる以上にいい女だけど」
スープを吹く手前だった。
こんな事スラスラ言える上総が怖い。
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