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「そ、そんな事言って欲しかったわけじゃない!それに上総をバカにしたつもりなんて...」
「好きなやつに自分は似合わないなんて言われたら俺だって傷つくだろ」
まるで『めっ』と言うような顔をして額に軽くデコピンをされた。
普通に痛い。
おでこも痛かったけど、
それ以上に胸が痛くなった。
上総が私の事をそんな風に思ってくれていたなんて全然知らなかった。
今さらながら気付かされたの。
みんなの王子様である前に私の彼氏なんだって。
あぁ、どうか。
どうか私だけの王子様でいて。
「...ごめんなさい」
「分かってくれたならそれでいいよ。あ、でも次またそんな事言ったら声が枯れて出なくなるまで鳴かせるから覚悟しておいて」
ニヤリと口角を吊り上げて嬉しそうに笑みを浮かべる。
もう絶対言わない。
口が裂けても言わない。
せっかく上総の優しさに浸ってたのに一気に意地悪な上総に邪魔をされた。
上総の方は見ないようにしてもう一度スープを啜る。
少しだけ温くなったスープがゆっくり体内に染み込んでいく。
まるで上総からもらった愛情みたいに。
よく考えれば、
上総とかーくんの行動は似ている。
いや、同一人物だったんだけど。
意地悪な事を言いながらしっかり私の事を考えていてくれるところとか。
口元を吊り上げて笑うところとか。
なんで気づかなかったんだろうってくらいそっくりだ。
驚くくらいに。
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