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「お前が飽きたって言っても離してやれないからな」
飽きたなんて言わない。
こんなに色々な表情を見せてくれる上総に飽きるわけないじゃない。
「むしろ飽きたっていって捨てないでよね」
ちょっとくらい意地悪言ったっていいでしょ？
私の方が浮気されちゃいそうで怖いんだから。
だって上総、
びっくりするほどモテる男だもの。
でしょう？内科の王子様？
「そんな事言うわけ無いだろ。十年以上も思い続けてきたんだから、これから先もお前だけだよ」
お前しか考えられない。
そんな事今言うなんてずるい。
これ以上幸せにさせてどうする気なのよ。
「ねぇ？ひとつ質問してもいい？」
ん？と顔を近づけてくる。
...質問したいだけなのに、近すぎてドキドキしてしまう。
こんなんでドキドキしてて、これから先ずっと心臓がもつのだろうか？
毎日ドキドキさせられっぱなしで、やっぱり上総に浮き上がって来れないほど溺れてるんだ。
きっと。
「なんでそんなに婚姻届に折り目ついてるの？」
一瞬だったけど彼の瞳がゆらりと揺れたのを見落とさなかった。
「それは知らなかったことに...」
「だーめっ」
どもってる上総ってちょっと珍しいかも。
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