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悲劇の一週間前___
「アリシア!アリシアはいる!?」
城の前
一人の少年が門を叩いている。
「僕だ!ルシャーだ!」
「あれ、ルシャー、うちになにかよう?」
「え?」
「え?」
アリシアは、ルシャーの後ろにいた。
城の外にいたのだ。
ルシャーは目をまんまるくして言った。
「あれ、アリシア、君、脱走回数が酷すぎて外出禁止になったんじゃなかった?」
「そうだよ。」
アリシアは、さも当然かのように答えた。
手にはパンや林檎、バターやジャムの入った紙袋を抱えている。
服はよれよれの安物。
長い髪はグシャグシャで、軽く上の方で縛ってある。
靴もよれていて、泥まみれだ。
「ルシャーのせいで誰かが部屋に呼びに来ちゃうじゃない。
私は部屋に戻るけど、ルシャーはちゃんとここで待っていてよ?
誰かが迎えに来るから。」
「あ、うん。」
木にすいすいと上り、枝から部屋に飛びうつるアリシアを見て、改めてアリシアってすごいなぁ、と、感心するのであった。
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