0人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女にとって、初恋だった。
「起立」
その声で我に返る。
ぼうっとしていたのを笑い、人差し指で頭をつかれた。
「妄想してた?」
「そんな訳ないでしょう?」
「はは。」
無邪気な笑顔には、胸が高まる。
そこで、いつまで経っても号令がかからない。
「そこの二人、やり直し。他の人は座って宜しい。」
教室に笑い声が広がる。
恥ずかしさで顔が赤くなりつつ、礼をして席についた。
「馬鹿。」
「うるさいわね!あなたのせいよ!」
教科書を開いた。
しかし、動揺から、違う教科書を開いた。
それをみて、彼は噴いた。
「天然生物がいる。」
そう言いながら。
その笑顔に、またときめいたりする。
最初のコメントを投稿しよう!