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「ただいまー!」
「あれ?誰もいないのかなー?」
いつもなら帰ってきたら必ずリビングの向こうからおかえりと声が聞こえるのに……
「お父さーん?お母さーん?いないのー?……出かけてるのかな……」
「あ、まさか二人とも僕を驚かそうとしてるのかな?……ふふふ…騙されたふりでもするかな……ふふふ…」
そして、リビングに入ろうとしてドアノブに手をかけたとき……
「えっ!?うわっ!?べちゃべちゃ!?……塗れてるし!?……なんで塗れてるの?……赤い?……」
(ペンキかな?……と、とりあえずお母さんに言わないと……)
「お母さーん!ドアノブが濡れてるんだけど……………えっ?………なにこれ……」
リビングに入って最初に目に飛び込んできたのは、壁、床あたり一面に広がる赤黒いものだった……そして、次に目に入ったのは床に倒れているお母さんと壁にもたれ掛かっているお父さんだった……二人とも服一面赤黒い……
「お、お母さんこれはいたずらにしてはや、やりすぎじゃない?……お、お父さんも……僕気づいてるよ?……い、いたずらだよね?……ねぇ……返事してよ……お母さん…お父さん……返事してよぉー……ひぐっ…ひぐっ……」
「なんで………」
「そんな……お母さん…お父さん……うぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああん」
その夜、彼の母、父が動くことはなかった………
この夜から彼の運命は狂い出す……
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