おはなし

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というか、この女の子、全校生徒把握してんのか? それで言ってるのか? 俺の頼りない頭では、キャパオーバーだ。 でもカズ、ここの制服を着ていたし。 目を見開くようにして、目の前の制服を見る。 俺の不可解な行動に目の前の二人はビビっていた。 俺でもそんなことやられたらビビる。 「違う…」 カズが着ていた制服と違う。 デザインはほとんど同じ。 校章だって、こいつのとカズのは同じだった。 でも、色が違う。 カズのズボンは水色のラインだったのに対して、こいつのはピンクよりの赤色だ。 「ここの制服って、ライン水色じゃないの…?」 女の子は少し悩んでから口を開いた。 「水色のラインだったのは、十数年前までだよぉ」 十数年前。 兄ちゃんが高校生だったのも、十数年前にあたる。 「ありがとう…!」 真剣に答えてくれか彼らにちゃんとしたお礼も言わずに走り出した。 後でちゃんと、全て解決したらお礼にもう一度ここに来よう。 人を掻き分け、信号も無視して。 クラクションが鳴るのを聞き流して俺は森を目指す。 カズは、多分ここにいる。 いや、絶対ここにいる。 ガサリと大きな音をたてて掻き分けた葉の向こうには、佇むカズがいた。 一度も休まずに走ってきた足は、帰宅部だった俺には辛い。 息も整う気配すらない。 「カズ…いや、…兄ちゃん」
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