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そう、それは丁度こんな雨の日だった。 蝉時雨が鳴り止まない7月の終わり。 激しい雨とサイレンの音、そして地面を埋め尽くすほどの 赤くてまだ暖かい血液。 私は大切な人を失ってしまった。 私は大切な人を・・・殺してしまった。 はっきりとした記憶はそれだけ。 けれども一生忘れない 忘れられない。 雨が降るたび、夏がくるたびに思い出す とても幸せで、とても眩しかった君といた時間。 一瞬にして私が壊してしまった 君といた時間。
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