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「ヒューズ!」
ここで仲間の死の瞬間を叫んでしまうのも、ウィルトがまだ未熟たる所以であった
「お仲間八ッケーン!」
ヒューズを殺した女性がウィルトを見てニタリと笑う。蛇に睨まれた様に鋭い眼光で、ウィルトは足が思わず竦んだ。
「この馬鹿野郎! とっとと逃げるぞ!」
「逃がさないわよ、王様を襲うテロリストが!」
激昂している女性の腕が光る。あの赤く煌めく光は____魔法!
「マズイ!」
ウィルトがそう叫ぶや否や火の火球が二、三発頭上で壁にぶつかって爆発を起こした。途端に辺りで次々に火が引火を繰り起こし、地獄絵図の様な火災を発生させた。
「無事か?」
「何とか」
伏せていたケネスが立ち上がると同時に、スプリンクラーが作動する。
「ヒューズがやられた……」
「仕方がない……俺達はやれることをやるぞ!」
ケネスの言葉を聴いたウィルトが歯を食いしばりながら立ち上がると、先程の女が武器を片手にこっちに向かって来ている。
「今は逃げるぞ!」
ケネスの声がウィルトを引っ張り、二人は一階から下に続く階段へと向かって行った。
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