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辺りはスプリンクラーで水浸しになっており、生徒たちがはしゃいで散らかしていテーブルの上の食べ物も床に散乱したりしている。物が焦げた臭いも同時に鼻につき、所々火がまだ燃えている場所さえある。
「フェアか?」
「ユーリィ!」
聴きなれた友人の声がする方を見れば、頬にすすをつけたユーリィが息も荒く手すりの下に立っていた。その背後では数名の生徒達が怯えた様子で蹲っており、おそらくユーリィが何とか頑張ってパニックになった友達たちを纏めたのだろう。
「無事でよかった。これから僕たちは非常口に行く。フェアも一緒に来るんだ!」
フェアは手すりを飛び越えて降りようとしたが、ユーリィ達の中にリアラが居ない事に気が付いて思い留まった。
「リアラは?」
「さっき憲兵らしい人に言われて、テロリストを掃討するために地下に向かった。どうやらこの爆破騒ぎはテロの仕業らしい」
「テロ……。何だってこんな日に!」
憎い。みんなの大事な時間を、帝国の記念の日をあいつらは奪った。それだけでもなく、日常から帝国民の平和を奪ってさえいる。フェアは手すりを強く握り締め、吐き出すように身を屈ませて叫んだ。
「フェア……今は逃げよう」
「逃げる事しか……出来ないのか?」
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