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その時、上層部で二度目の爆発が起きた。今度は地震の様な横揺れが起こり、人々の悲鳴が再び巻き起こる。
「危ない!」
誰かが上を指差して叫び、フェアはその方を向いた。壊れた巨大な鉄骨が重力に身を任せながら落ちて来ている。人間なら簡単にぺしゃんこになるほどの大きさだ。
「逃げろ!」
ユーリィの声に触発され、フェアは咄嗟に後ろに飛んで身体を伏せた。その直後背後で凄まじく大きい音と振動がフェアを襲い、水飛沫がいくらか降りかかった。目を開けて後ろを振り向けば、足の靴の先が鉄骨の先に掠っていた。
フェアは寒気が走っている身体を何とか立たせ、ユーリィ達の安否を見ようとしたが、鉄骨に階段を塞がれてしまって見るに見れない状況だった。
「大丈夫かユーリィ!」
「こっちは大丈夫だ」
返事が返って来てくれてホッとした。しかし喜んでいられる状態ではなくフェアは道を塞がれていた。いや、ただ一つだけ城の地下へと通ずる階段がウォータースライダーよろしく水を流しながら続いている。
「塞がれたけど、地下に行ける。そこからならまた戻れそうだ」
「地下は戦闘が起きてるそうだけど……」
「死ぬなよフェア!」
「外で会いましょう!」
ユーリィと共にいる友人たちの声を聴くと、千切れたケーブルから発生してるショートした電気の明かりに照らされている階段を見据えた。
途端、身体が吸い込まれそうになった気がし、フェアは驚いて首を振った。
「何だ今のは……」
誰かが呼んでいる? 嫌な予感が胸を打ったが他に道が無い手前、フェアは階段を駆け下り始めた。
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