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「リアラは……」
こんな過酷な状況の中に彼女はいる。未だ戦っているのだろうかそれとも……。全身に寒気を覚えフェアは身体を強く腕で締め付けた。
「こんなの……おかしい」
目の前にぽっかりと空いていた穴に気づかなかったのは、ただ単純に辺りが暗かっただけだった。足が滑ったのかと思って視界が暗転し、次の瞬間身体がずるりと吸い込まれるように落ちた。
「痛っ!」
落ちた後に身体を強い衝撃が走り、次いで内臓が飛び出そうな気持ち悪さに顔を歪めた。かなり落ちてしまったらしく、水が滴り落ちている上を見れば、穴は三階ぐらい高い所にある。
取りあえず立ち上がるとここはどこだと辺りを見渡した。訳が分からない機材が並んでいるこの部屋は、下手すれば城のエントランスホールに匹敵する程の広さである。
「早く行かないと……」
何処に? 不意に脳裏に浮かんだ言葉に応える事は出来なかった。ここが何処だかさえ分からないフェアは引き寄せられるよう機械と機械の間を進んで部屋の中央へと進んで行き、出会った。
「これは……」
天から微かに差す淡い光の只中、一つの丈の長い剣がある。機材から伸びたケーブルによって収められていると言うよりは封印されていると言った方が正しいかもしれない。
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