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「チェインソードが起動しているだと……。しかも人が触れている!」
奥から入って来た埃だらけの汚れた背広姿の男が息を呑んで言う。
「君は誰だ!」
「えっ……フェアと言います。科学学校の生徒……です」
呑気な返事を返した所で、男の一人が懐から黒い拳銃を取り出して来た。
「えっ」
「死にたくなければすぐにその剣を渡せ!」
「おいランド。よせ!」
銃口を向けられた心臓がドクンと動き、自然と身体が震えた。防衛本能だろうか両手に握っている黒い剣を相手に構えていた。
しかし、全くの逆効果であった。
「野郎、帝国兵みたくやろってのか!」
「やめろと言っただろう!」
仲間の男が拳銃を払おうとした手が引き金となり、銃弾が銃口から放たれた。一瞬周りの光景がスローになった様になり、フェアの持つ剣が心臓の鼓動に反応するかのように光り輝きだした。
「ッ!」
思わず目を瞑り、フェアは悲鳴を上げた。すると頭の中で何かが動めき出し次の瞬間、フェアは瞳を見開いた。
※
またしても仲間の行動を目の前でただ見ているだけだ。ケネスが必死に止めようとしたが、無情にも銃弾は少年に向けて放たれていた。
奥に茫然として立っていたウィルト・コールスの表情は、次の瞬間驚きに変わっていた。
「何だこの光は!」
撃たれたはずの少年がいた所から、逆さの滝の様に天井へと光が伸びている。
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