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しかしその弾丸のどれもが少年に直撃する事無く細かく砕けて天に消えた。全方位に防御魔法でも張っているかのようだ。
「やっぱりか……。どうすれば」
ケネスの呻き声が少年の後方でし、少年はそちらを向いた。
「邪魔をするな!」
女性の声? 少年の口からでた声に若干の違和感を感じながらも、ウィルトは迷わず少年の背中に剣の先を向けた。
「話が分かるんなら今すぐその剣を捨てろ!」
馬鹿な真似だと言うのは分かっている。しかし、チェインソードの起動と言うイレギュラーが起こったこの場に何が正しいのかと言う線引きは無いと言っても過言ではない。ウィルトは皆が見守る中、少年に言い放った。
「面白い男だな」
少年が前を向きながら笑う。余裕綽々と言った表情だ。
「笑うな! お前のせいで何人も仲間が死んだ!」
「だから……どうした?」
少年が一気に振り返り、ウィルトの剣をチェインソードで弾いた。接触点は消え去り、剣の先は飛んで行った。
すぐさま腰の拳銃を左手に握ったウィルトだが、それさえもチェインソードですぐさま消された。
「アハハハハ! 弱すぎる!」
高笑いをする少年を前に、ウィルトは声を失った。
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