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「こいつ……一体どうするんだろうな」
「ケネスさんに訊いてみるか」
仲間の男がそう言えば、聞き耳を立てていたケネスがやって来た。
「今、ローワンの旦那の指示を待っている」
「まさか連れて行くなんて事しないですよね」
一抹の不安を感じられずにはいられなかったウィルトはケネスに訊いてみた。
「ない。って言いたいがあの人の事だ。どうするか分からん」
ケネスはそう言いながら耳元に通信機をあてがった。
「今すぐ殺してやりたい気分だぜ」
仲間の男は吐き捨てる様に言うと、倒れている少年の頭を足で軽く押した。
「何ですって? いや……はい……ですが……」
ケネスの戸惑う声がし、ウィルトはその方を向いた。まさかとは思いたいが……。
「……分かりましたよ」
納得がいかないようなままケネスは通信機から耳を離してこちらを向いた。
「……一緒に連れて行くそうだ」
「冗談でしょ!」
思わず声が荒んだ。
「俺だって冗談だって思いてーよ。ったく、剣は用意しておいた装置に入れて行くぞ。あのガキは俺が背負う」
苛立っているのはケネスの方も同じだ。何が嬉しくてこんな事をしなければならないのか。
「ほら急ぐぞ。別働隊がいつまでも敵兵の注意を引けるとは限らないからな」
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