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「騎士団入隊おめでとうリアラ!」
帝都ヴェ二クスの象徴であり、ガルア帝国の本拠ヴェ二クス城。本日は祝祭と言う事もあり普段とは違って一般開放されていた。と言っても一階部分のみだが。
その一階部、祝祭のパーティー会場である場所で、数名の学生がテーブルを挟んで談笑していた。
「ありがとうみんな」
その真ん中で、照れくさそうに顔を赤らめて笑顔を見せる女子が祝福を受けていた。リアラと呼ばれたその少女の片手には、賞状の様な分厚い紙が握られている。
嬉しそうだな……。城のテラス付近でジュースの入ったグラスを持ち、みんなの姿を見ていたフェア・ロイナスは口元を緩ませていた。
深海の様に深い青の瞳に、無造作な黒髪。女の子の様に線の細い顔立ちではあるが、どこか十七歳には似つかない大人しさを出していた。
「フェア」
名前を呼ばれ、フェアは視線を向けた。
「やぁユーリィ」
ユーリィ・エイドマン。月光に光る金色の明るい髪をなびかせながら、にこやかに友達はフェアの隣に並んで立った。
「びっくりしたよ。子供の頃は身体があんなに弱かったリアラが騎士団に飛び級で入隊するのだから」
ユーリィは茶色い瞳をフェアと同じように彼女に向けながら言った。
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