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でもようやくコレが手に入った。本当は拳銃でも手に入れたかったんだが――俺がやろうとしている仕事を一番鮮やかにやれるのはやはり銃だ――そうなるとあの鼠野郎の下でたっぷり二十年は働かされていただろう。俺の目的を考えればコレで十分。そう、『必要にして十分』ってやつだ。足るを識るってこと、これも昔の俺には欠けていたことかもしれない。
薄っぺらいシーツの中でソイツを弄びながら俺は考える。今夜実行すべきか否か。馬鹿らしい。考えるまでもないことだ。日を置くたびに転房や荷物検査のリスクは増えるし、何より恐ろしいのは自分の決心が鈍ることだ。決断力の欠如。これもまた俺の欠点の一つである。
練りに練った計画を、必要十分な道具で以って、断固としてやり遂げる。俺が今からやろうとしているのは、まさしくそういうことだ。刑務所暮らしが人間性を向上させるなんてのは馬鹿げた題目だと思っていたが、どうやら俺に関して言えば一理あるようだ。
俺は今夜、この監獄を出る。『必要にして十分』なやり方で。
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