プロローグ

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・・・・今から、数年前の話・・・・・ 「はぁ・・はぁ・・」 一人の女性が息も絶え絶えに、這うように暗い道を進んでいく。彼女の体は見るも無残に全身ずたずたにされ、目からもほとんど生気が消え失せていた。もし動いていなかったら確実に死んでいると思われるに違いない。 「アイツ・・よくもやってくれたわね・・!」 女性は拳を握りしめ、ガツンと地面を殴る。そこに、小さな少女が、恐る恐る近づいた。 「・・お母さん、大丈夫?」 少女の声は涙声になっていた。女性は、表情を和らげ、にっこりと笑うと、少女の頭をやさしくなでた。 「・・ふふ・・ごめんね。もう・・・行かなきゃいけないかも。」 それを聞いた瞬間、少女の顔が不安に染まった。 「ヤダ!ヤダよ、がんばって。そんなこと言わないで!!」 少女は泣き叫びながら取りすがるが、女性は弱々しく首を横に振った。 「・・・本当にごめん・・でも・・これだけは、お願い・・っ!げほ、ごほ!!」 「っ!!お母さん!!!」 声をだんだんと掠れさせながら、女性はこういった。 「・・あなたの力で・・奴らから、この世界を守って・・!」 そう言って、女性は地面に突っ伏し、動かなくなった。 「お母さん!お母さん!!」 少女が必死に呼びかける中、最後に、こうつぶやいた。 「・・大丈夫・・あなたならできるわ・・霊夢・・・」 ・・・・霊夢。その名が後に、どのようなものになるか、この時はまだ、誰も知らなかった。
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