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「…ごめんなさい」
良に促され、仕方なく私は両親に謝る。
「高見さん、取り敢えずソファーに座って下さい。そこの家出娘さんもご一緒に」
ママに言われ私達はソファーに並んで座る。皮張りのゆったりとしたソファーが、二人の重みで静かに沈んだ。
私達はパパと向かい合ったまま、次の言葉が出てこない。静かなリビングに掛け時計の秒針の音だけが、カチカチと時を刻んだ。
呼吸することも気を使うくらい、重苦しい空気の中、ママがお茶を出す。
「ありがとうございます」
良はママにお礼を言うと、意を決したように口を開いた。
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