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「ダメだ。それは出来ない。美生、こんな形で美生と暮らしたくないんだ」
「…良」
いつも優しい良が、厳しい眼差しをしている。
でも家にはもっと恐いパパがいるわけで…
これから起こるであろうパパとのバトルを想像したら、思わず身がすくんだ。
自分の手が微かに震えているのがわかる。世田谷から自宅まで、私達は車中でそれ以上言葉を交わすことはなかった。
良の表情から、私以上に緊張していることを感じとれたから。
自宅前で停車した良は、運転席から降りるとトランクを開け、キャリーバッグを取り出した。
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