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私は助手席に座ったまま、車から降りることが出来ない。良が助手席のドアを開けた。
「美生、車から降りて」
「良…無理だよ。私のパパと話し合うなんて無理だよ。お願い、良や幸奈ちゃんを傷付けることになる。このまま…私を連れて行って」
「美生、ダダをこねないで、早く車から降りて。冷静にご両親と話し合うから」
良は私の手を掴む。
良が冷静でも、パパは冷静でなんていられないよ。
すでに沸騰したヤカンみたいに、パパの怒りはグツグツと煮えたぎっている。
良に手を引っ張られ、私は渋々車から降りる。
良は玄関に向かうと、躊躇することなくチャイムを鳴らした。
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