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次は野球部や陸上部のあるグランドへ移動することにした。
体育館からグランドへ行くには、文化系の部室棟を通ることになる。
廊下を歩いていると、あちらこちらから勧誘を受ける。運動部と違い入部希望者が少ないのか、何処も必死だ。
文化系だとモテ要素のある部は、学祭で目立つ軽音楽部くらいか。
こう色々あると迷ってしまうが、薔薇色の学園生活を送る為によーく考えなければ……
そう思いながら歩いていると、椅子に腰掛けて本を読んでいる女子がひとり、俺の視界に飛び込んできた。足を止め、開放された扉から中を覗く。
清楚で可憐
彼女を表現するのに、これ程適した言葉は見当たらない--しばらく、俺は呆然と彼女を眺めていた。
大きく愛くるしい瞳に長いまつ毛、上品な唇で構成された端整な顔。肌は白く透き通り、髪は長く艶やか。まるで芸術作品を観ているよう。
俺は勇気を出して声を掛けてみた。「あのー、ここは何部ですか?」
しかし、彼女は端整な顔を俺に向けるとその質問には答えず、「入部希望の方でしょうか?」と尋ねてきた。
彼女の凛とした声に心臓を鷲掴みにされ、俺の意識の総てが彼女に注がれていく。
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