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木漏れ日が照らす森の中、道無き道を1組の男女が歩いていた。
男の方は身長180センチを超える長身に整った顔立ちで白人。肩にかかるくらいに伸びた黒髪に、背中にモーニングスターを背負い歩いている。
女の方は対象的に150センチあるかないかの小柄な少女で童顔。色白だが顔立ちからアジア人だと分かる。少々クセのある、これまた黒髪が肩にかかっている。手には杖を持ち、ついて歩いている。
「葵ちゃんってサッカーやってる?ほら、日本って女の子は強かった気がするんだけど」
長身の男が葵と呼んだ少女を見て言った。
「いいや、やってない。ボクはインドア派でね、スポーツ自体、得意じゃないんだ。見る方がすきだよ。ベネデットさんはどうなんだい?イタリアではサッカーは有名だろう?」
葵はまっすぐ前を見たまま言った。話に興味がない訳ではない。顔を見て話そうとすると身長差ゆえに顔を上げねばならず、首が疲れるのだ。
「俺も見るほうが好きかな。 どう?今度2人でサッカー観戦で もしてみない?」
ベネデットと呼ばれた男が言った。うん、と返せば明日にでも行こうと言いそうな軽い口調だった。
「この世界から帰れたらね」と葵は返事した。
そう、彼らも勇者としてこの世界に飛ばされてきたのだ。4人いたパーティーは最初の戦闘で他の2人が逃走によって離脱。
残ったのは彼らだけになってしまっていた。
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