イタリアの伊達男と日本のボクっ娘

4/12
前へ
/12ページ
次へ
「葵ちゃん、アレ、お願い」 ベネデットは葵のほうを見ないで言った。その様子から葵はベネデットのスイッチが切り替わったのを感じ、分かった、と言って魔法の詠唱を始める。 バトルフィールドが形成され終わった瞬間、ベネデットがモーニングスターを構え走り出した。 少し遅れてゴブリンも走り出す。 距離が近づいた時、葵が魔法を唱えた。 「スピードゲイン!」 その瞬間、ベネデットの周囲に魔法陣が浮かび、体内に収束した。 途端にベネデットが加速する。スピード強化の呪文だ。 そしてその勢いのままモーニングスターを先頭のゴブリンAに叩きつけ、吹っ飛ばした。ゴブリンAの頭上に『41』と、ダメージカウンターが浮かぶ。 ベネデットはブレーキをかけ止まるとモーニングスターを足元におき、ゴブリンたちを見てニヤリと笑う。 フーリガンという者達がいる。 それはサッカーの試合会場で暴徒化した者たちのことだ。彼らの特徴は暴動の理由がサッカーの試合結果に関係ないことである。暴れること、暴動そのものを目的としている。 スタジアム、近隣都市、交通機関など場所を問わず破壊活動を行う彼らはその危険性から、一部国家より入国禁止を言い渡させるほどである。 ベネデットは武闘派のフーリガンだった。 暴動や破壊活動、喧嘩や乱闘などは慣れたもので、むしろ興奮材料でさえあった。 ゴブリンBが錆びた斧を横薙ぎに振るった。ベネデットはそれをしゃがんでかわす。 すると次のゴブリンCが棍棒を手に飛びかかってきた。バックステップでこれもかわす。 最後に回り込んできたゴブリンDが骨ナイフを構え突進してきたがタイミングよく横に飛び跳ね、闘牛士のようにこれをかわす。 そしてターンが回る。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加