イタリアの伊達男と日本のボクっ娘

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ベネデットは距離を取らず勢いのままモーニングスターを逆袈裟に振り抜く。それが標的を探そうと振り向いたゴブリンDの後頭部に直撃、体ごと吹き飛ばした。頭上に『38』のダメージが浮かぶ。 それを見たゴブリンCは喚声をあげ、棍棒を振りかぶり飛び掛かった。 「能無しめ」と、ベネデットが呟く。 攻撃の直後に生じる隙をつくのは悪くない。だが飛び上がっての上段斬りはダメージの大きさの代わりにスピードがない、さらに太刀筋も見切りやすい。これではせっかくついた隙をまったく生かせない。 体格同様、頭脳も子供レベルか、と思いながらベネデットはバックステップで難なくかわす。空を切った木製の棍棒がさっきまでベネデットがいた場所にめり込んだ。次いでゴブリンCが着地の衝撃を抑えるためしゃがみこむ。 その瞬間ベネデットは血相を変えた。 ゴブリンCの背後からゴブリンBが斧を投げつけてきたのだ。 それがちょうどしゃがみこんだゴブリンCの頭上ギリギリで通り抜ける。 ベネデットは急ぎ体を後ろに逸らしかわそうとしたが気づくのが遅かった。錆びた斧は突き刺さりこそしなかったが、肩口を捉え、抉ったような切り傷を残して後ろに跳ねる。頭上に『16』のダメージが浮かぶ。 思わず右手で傷口を抑えた。そして「やりやがったな」と呟き睨みつけた。その間にゴブリンCが距離をとる ベネデットはゴブリンに対する考えを改めた。 ベネデットは葵を見て目配せした。魔法の詠唱中だった葵はうなずくことでこれに答える。 「パワーゲイン!」 魔法陣がベネデットに収束する。 ベネデットはモーニングスターを2、3度握って効き目を確かめ、そしてニヤッと笑った。パワー強化呪文だ。 「分かってるじゃない!葵ちゃんはいいお嫁さんになりそうだ!」 「なぁっ!!?別にこのくらい別に・・・!」 またもや葵の顔は赤くなった。 そしてターンが回った。
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