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教室のドアを開けると、すぐこちらに生徒たちの視線が突き刺さった。
こちらを見てきた生徒には、またか、と露骨にあきれたような顔をするやつや、にやついて、こちらをからかってやろうという考えが透けている顔のやつがいる。
「よう、沢谷。うらやましい身分だな!」
と、にやついていたやつが手でメガホンをつくって大きな声でそう言うと、ちょっとした笑いが教室の所々におこる。
僕は、怒りではなく恥ずかしさを感じた。
登校してきて早々に気分を害された。
しかし僕は、冗談を言ってきたやつに自分でも嫌気がさすほどに愛想よく笑顔を送る。
そしてまわりの目線をなにも気にしていないように、自然にと心がけながら観察した。
一度の冗談で満足したのか、もう、僕をとくに気にしている生徒はいなかった。
笑いもすぐにやんだ。
さっきの大きな声のやつも、ブランコのように椅子をゆらしながら自分に寄ってきていた生徒と話しはじめていた。
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