優しさの欠片

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『じゃぁ…俺先行くわ!放課後な!』 先輩はこちらを見ながら走り出した。 …あ…行っちゃう。 学園まで一緒に行きたいなんて…言えない。 するとピタリと立ち止まり… 先輩が振り返った。 え?思いが通じた…? 何かを思い出した様に先輩は私の隣に戻ってきた。 『沙羅!これ!』 先輩がノートの切れ端を私に差し出してきた。 『俺のアドレス。連絡先知らないよな?』 …!! 『…いいんですか?』 嬉しい…! 『知らないと連絡取れないだろ?後で送っといてよ。じゃぁ!』 立ち尽くす私を置いて先輩はまた走り出した。 ずーっと…言えなかった。 アドレス交換しますせんか?って…。 それを…先輩から渡してくれた。 今日は…物凄く、運がある日かも…! 私は溢れる笑みを堪えきれなかった。 嬉しくて、嬉しくて…。 学園までの道程が華やいだ。
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