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『沙羅!』
振り向くと疚 萱斗(やまい かやと)先輩がこちらに走ってきていた。
『おはよう!』
キラキラ輝く笑顔を向けながら先輩は私の隣を歩き始めた。
『おはようございますー』
私は先輩の顔をチラッと見て返事する。
この時間…ずーっと続けばいいのに…。
そんなの贅沢かな?
学園まで先輩と並んで歩く通学路。
一緒に歩いてる時間が…物凄く短い。
一人で歩く通学路は長くて遠く感じるのになぁ。
『あ!今日…放課後、暇?』
先輩が言った言葉に耳を疑った。
『…え?』
思いがけない言葉に歩みを止めてしまう…。
『今日、部活休みだから皆でカラオケにでも行かないか?』
…皆…そうだよね。
先輩が私なんかを誘うわけないじゃない。
わかっていたけど…一瞬抱いた期待が闇に消えてく。
『あ…暇です。』
二人きりじゃなくても…先輩と一緒にいたいから、私は予定を揉み消した。
本当は…親友の山澤 茜(やまざわ あかね)と遊びに行く約束をしていた。
茜には…謝らなきゃ。
『じゃぁ、放課後…駅で待ち合わせしよう!』
私は先輩の顔を見れずに頷いた。
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