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バスタブの縁に両腕そして顎を預けた土方は、シャワーを浴びる永倉の広い背中を見ていた。
永倉が本気で土方をどうにかしようと思ったら、抵抗したところできっとなすがままになっていただろう…
そう思わずにはいられない逞しい背中。
土方の視線に気付いた訳ではないのだろうが、濡れた髪から滴を飛ばしながら、永倉が振り向いた。
「先にあがるぜ」
「あ…俺も」
土方は勢いよく立ち上がった。
脱衣場に出た永倉は、脱ぎ落とされていた土方のシャツを見た。
「あんた、これしか羽織らずにここに来たのか?」
「う…うん」
本当にコトの途中で逃げてきたって感じだな。
とは、心の中でだけ呟やく。
しかし永倉の心境がなんとなくわかった土方は、赤くなりながらシャツを羽織った。
「ちょっとここで待ってな」
そんな土方をクスリと笑った永倉は、土方を残して出ていった。
何をしに行ったのだろうかと土方が考えていると、数分で戻ってきた。
手には、何やら透明感のある液状のものが入った容器を持っている。
「何だ?……そ…れ…ッ!!!」
ソレが何だかわかったのか、土方は突然口ごもった。
「コレ…新品だからやるよ」
「う…ッ!!!」
「山崎さんがこんなの事前に用意してるとは思わないからな。だろ?」
「そりゃ…そうだけど…どんな顔して渡しゃいいんだよ」
「どんな顔してたって山崎さんは喜ぶよ」
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