本編⑮

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バスタブの縁に両腕そして顎を預けた土方は、シャワーを浴びる永倉の広い背中を見ていた。 永倉が本気で土方をどうにかしようと思ったら、抵抗したところできっとなすがままになっていただろう… そう思わずにはいられない逞しい背中。 土方の視線に気付いた訳ではないのだろうが、濡れた髪から滴を飛ばしながら、永倉が振り向いた。 「先にあがるぜ」 「あ…俺も」 土方は勢いよく立ち上がった。 脱衣場に出た永倉は、脱ぎ落とされていた土方のシャツを見た。 「あんた、これしか羽織らずにここに来たのか?」 「う…うん」 本当にコトの途中で逃げてきたって感じだな。 とは、心の中でだけ呟やく。 しかし永倉の心境がなんとなくわかった土方は、赤くなりながらシャツを羽織った。 「ちょっとここで待ってな」 そんな土方をクスリと笑った永倉は、土方を残して出ていった。 何をしに行ったのだろうかと土方が考えていると、数分で戻ってきた。 手には、何やら透明感のある液状のものが入った容器を持っている。 「何だ?……そ…れ…ッ!!!」 ソレが何だかわかったのか、土方は突然口ごもった。 「コレ…新品だからやるよ」 「う…ッ!!!」 「山崎さんがこんなの事前に用意してるとは思わないからな。だろ?」 「そりゃ…そうだけど…どんな顔して渡しゃいいんだよ」 「どんな顔してたって山崎さんは喜ぶよ」
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