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「すいません。ですが大変なんです、敵の軍が魔王城目指して向かって来ています」
「敵の数は?」
「我々の軍の三倍程います」
冷静なハレスに比べて、数の多さに焦っているズーマが声を荒らげて言う。
「なんだ、拍子抜けだ」
本当に拍子抜けしたとでもいう様な顔をして、残念そうに溜め息をつく。
その言葉を聞いたズーマは怪訝な表情をする。相手の数は、自分達の三倍もいるのだからそれは当たり前の反応なのかもしれない。
だが、ハレスの表情には迷いや恐れは一切なく尚も平然としている。
「少しの間、楽しいパーティーに行ってくるから魔王城は任せたぞ」
不敵な笑みを浮かべてが言うため、ズーマは返事すら出来ずにただハレスの後ろ姿を眺めていることしか出来なかった。
ハレスは城を出ると漆黒の翼を出し、敵が向かってきている方角に向かう。
周りから見たら月明かりに照らされて、翼の生えているハレスを悪魔と錯覚してしまうだろう。実際、悪魔より恐ろしい魔王なのだが。
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