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高校の数学は、とにかくムツカシイ。
しかも、授業の進度は、中学とは比べ物にもならなかった。
入学して二ヶ月。ようやく高校の数学のペースには慣れてきたけれど、今度は内容がよく理解できない。
…私は、数学は好きではない。
「じゃあ、練習32、解いてみてー」
先生の掛け声とともに、カリカリと、シャーペンを走らせる音が教室に響き、静寂に包まれる。
一足遅れて、私も机に向かい、問題を読んだ。
…さっぱり、わかんない。
私は頬杖をついたまま、問題を何度も何度も読む。
問題文が頭の中を反芻して、いよいよ頭がパンクしそうになる。
そのとき、隣からはカタン、とペンを置く音がして。
思わず隣を見ると、当然だけど、隣にいるのは夏原くん。
夏原くんは、ペンを置いて、頬杖をついて、背中を丸めて、足を組んで、
じっ…と、黒板を見つめていた。
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