チョコレート

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夏原くんは写し間違えることも無く、黒板に答えを書いていく。 雲が動いたのか、教壇に、窓から日光が降りそそぎ、夏原くんの足元に、黒板に、ぼんやりと影をつくった。 ワイシャツが白く透けて、髪が茶色く透ける。 カタン、という音をさせてチョークを置く夏原くん。 振り返った彼は、窓から差す強い日差しに目を細める。 私はそんな彼の様子を、ぼうっと眺めていた。 授業中、 視界がスローモーションに見えたのは、 初めてだった。
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