序章 『新・倭華記』より

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しかし、女は衰弱していた。 神は女が死んでしまうことを恐れた。 死後の世界は存在しない。神はそれを誰よりも理解していた。永遠に女を失うことを恐れたのだ。 神は女に生命を与え、洞窟の出口を開いた。 女が外に出ると、村はすっかり元来の快活さを取り戻していた。 それを見た女は涙を流して安堵した。 「良かった。嗚呼……良かった」と。
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