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一方村人の間では、山に住む化け物の仕業ではないかと騒がれていた。
その村では昔から、山に恐ろしい魔物が住んでいると伝わっていた。その化け物は女や子供を好むとされ、飢饉や災害の際には決まって村の女を一人、贄として山の洞窟に閉じ込めた。
そして、今度の干ばつに関しても村人達は同様に生贄を捧げるつもりであった。
村の女達は言った。
「あの狂い咲きの女がやって来てから、徐々に雨が降る日が少なくなった」と。
男達も、よもやあの女のせいではあるまいと思いながらも、己の妻や子供を奪われるのを恐れてそれに賛同した。
こうして、女は謂われのない責を負うこととなり、生贄としてこの暗く冷たい洞窟に閉じ込められた。
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