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その儚い一本桜のような美しい姿を見ていた者がいた。
それは、まさに女が望み続けた神であった。
神は姿を現さず、ただひたすらに女を見ていた。
食糧も尽き、少しずつ痩せこけていく女。それでも祈りを捧げ続ける女。その想いは、母が子へ抱く無償の愛のようであった。
神はその愛の前で、己が如何に孤独な存在であるかを知った。
誰一人、神の真意を知る者はいない。
誰一人、神に無償の愛情を注ぐ者はいない。
神は孤独を知り、無償の愛を求めた。
ただ、女を愛してしまった。
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