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ある日、パパは言った
「そろそろ飛べるんじゃないかって
木元さんが言ってたよ!」
木元さんとは、一番世話をしてくれた
近所のお爺さんだ
「あら、それじゃもういなくなっちゃうのね」
ママは悲しげな目で僕を見つめる
「何でいなくなっちゃうの??」
「大人になるからさ。そしたらもう自分の力で生きていくんだ。」
パパも悲しそうな目で僕を見ていた
「そんなのやだ!僕の家族だもん!!
家族はいつも一緒だってパパもママも言ってたもん」
「そうだよ。家族は何があってもずっと一緒だ。例え離れることになってもだよ
。パパだっておじいちゃんやおばあちゃんと離れて暮らしているだろう?
これはパパが大人だからだ。」
「じゃあスズもパパになるの?」
「ああ、そうだ。ずっと閉じ込めていたら、いつまでたってもパパになれないだろう?」
その夜、僕は家を飛び出した
パパとよく行っていたお気に入りの場所、
1人では行ってはいけないと言われていた夜の海
僕は泣いた
1人、ただひたすら・・
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