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空に向けた目を、下へ向ける。
授業が終わり、下校中の生徒。
部活動をしている生徒。
何やら騒いでいる少年達など、様々な人が目に映る。
きっと彼らには親がいるのだろう。
そう思うだけで名前も知らない人に嫉妬することができる。
俺はなんて人間なんだろう。
ポツ、と肩に雫が落ちる。
それはすぐに数を増やし、アスファルトの色を変えていく。
慌ただしく、屋外にいる生徒達が動き出す。
直後に変色するアスファルトを隠すかのように、色が咲いた。
天気予報を見ていたのだろう。
雨を防ぐ術があるものは、その動きに落ち着きを取り戻した。
逆にそれがないものは、大半が急いで校舎を離れていく。
屋外での部活動をする者や、残りの少数は校舎の中に流れていく。
「……俺も中に入るか」
意味もなく濡れるのは避けたいし。
そう思い、俺は踵を返した。
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